2013年2月6日水曜日

「おもてなし」の建前と本音


開花促進剤散布、地元に賛否両論 河津ザクラ」 という記事


早咲きで知られる「河津ザクラ」の里・河津町で、駅前のサクラの木などに2011年秋から開花促進剤が散布され、地元で賛否両論が巻き起こっている。(中略)散布を観光客への「おもてなし」と捉える観光関係者に対し、地元住民の間には「だますことにつながるのでは」と懸念の声もあがっているらしい。

花見は楽しい。でも、予定がたてづらい。開花タイミングがうまく休みと重なるとも限らないし、野外での花見だと天気の心配もある。場所取りも面倒。近所にある桜を通りすがりに眺めたり、満開の桜並木の下を歩くのはいいけど……と腰が重くなる。

一方で、年老いた祖母やおばといった人たちの「来年の桜は見られるのかしら」といった会話を聞くと、花見というイベントのとらえかたが少し変わる。早咲きの桜があるなら見せてあげたいとも思うし、「行ってみたけど咲いてませんでした」では、さぞガッカリするだろうなとも思う。

ただ、だからといって、開花促進剤を使って開花時期をコントロールすることを"観光客へのおもてなし"とくくられると、首をかしげたくなる。

誰のためなのか、本当に望まれていることなのか。そこが精査されないまま、「おもてなし」という言葉だけが一人歩きする。そんなケースは普段の生活のなかでもちょこちょこ目にする。

飲み会の席で、誰かのグラスや皿が空いた途端、大騒ぎでサービスしようとする、"自称・気が利く女子"。たいてい「話が一段落するまで待つ」という機能がついておらず、会話をぶったぎってもお構いなし。話の腰をバンバン折りつつ、「次は何にします?」「すみませーん!」「小皿いただけますか」「空いてる皿、下げますね」と八面六臂の大活躍。

弁当男子・料理男子ブームの影響があるのかないのか、腕自慢したいだけの俺様料理を「おもてなし」と称する"自称・料理好き"も時折見かける。本人は自信満々。本気で思い込んでたりするので厄介なことこの上ない。運悪く遭遇したら「すごーい/すてきー/はじめてー」(いずれも特に意味はない。建前指数77。『オンナの建前⇔本音翻訳辞典』より)でしのぐに限る。

いっそのこと、「この時期、観光客が来てもらえないと、河津町は死活問題なんです!」と率直に伝えたほうが、地元の共感を得やすいのではないか。"いつ咲くかわからない"を逆手にとった観光戦略をたてて、他の桜スポットと差別化する方法もあるのでは。

2月5日(火)の「森本毅郎・スタンバイ」でもこのニュースがとりあげられていた。


同番組のサイトによると、河津町産業振興課は「観光客の方を呼ぶために散布するという考えは一切ありません」とコメント。河津さくら実行委員会の「研究材料が逆に人を呼び込んでるのかということも一理あると思います」というコメントもあり、あくまでも"研究の一環で場所を貸しただけ"という姿勢が強調されていた。おもてなし、関係ないじゃん!

集客目的でないとしながらも、散布対象はメインストリームの桜が選ばれているなど、ツッコミどころは多々ある。でも、「おもてなし」を掲げられるよりは「研究の一環」のほうがまだ好ましい。強引だなあと笑える余地がある。


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