「シニアにも人気、シェアハウス」という東京新聞の記事。
一つ屋根の下で他人同士が生活を共にする「シェアハウス」。
独り暮らしに不安を抱える高齢者向けの取り組みも広がっているのだとか。
昨年末には、猪瀬直樹都東京都知事が「独居高齢者が増えている都営住宅を、
若者が共同で暮らす「シェアハウス」として提供し、
異世代交流を促す構想を明らかにした」というニュースが話題になった。
他人と住居をシェアするという文化を初めて目にしたのは、たぶん大学生のとき。
大学の周辺には、一軒家に何人かで住むような昔ながらの下宿がたくさんあった。
大家さんが一緒に住んでいて、食事を出してくれるところもあれば、
家だけポンと借りて、自分たちで掃除や洗濯、炊事のルールを作って
やっているようなところもあって、後者はまさに、今で言う“シェアハウス”みたいな場所だった。
当時はまだ実家暮らしだった私にとって、一人暮らしは憧れではあったけれど、
その“シェアハウス”での共同生活は楽しそうでもあり、億劫そうでもあった。
経験者に聞くと、最初にきちんとルールを定めておけば、
トラブルも回避できるし、ストレスがまったくないかといえば、
そうではないけれど、“お互いさま”と思えば、気にもならないという。
同居人がいるという安心感もあるし、寂しくなくてよいとも言っていた。
20代の頃は、この「寂しくない」が大問題だなと思い、避けて通ってきた。
一人でごはんを食べるのがつまんないだとか、
体調を崩したときに心細いだとか、案外こうした細かいことの積み重ねが
恋愛に向かうエネルギーになると信じて疑っていなかったのだ。
手近な相手で寂しさを埋めようした結果、ろくでもない相手にひっかかるという
リスクも高まるので寂しけりゃいいというものでもないけれど。
「恋愛したいけど、その気になれない」という人には、寂しさの増強をオススメするし、
逆に「気持ちは冷めているけれど、寂しくて離れがたい」という人には
シェアハウスに限らず、習い事でも運動でも他人と共有する時間が長い何かを
始めてみることをおすすめしたい。
「こんなにつらいのに離れられないのは、それだけ好きってことなのかしら!」
と思っていたけれど、他に暇をつぶせる相手や用事が見つかると途端に色あせる。
そう気づいてしまったときの爽快感はすさまじい。
今回の記事のように、年をとってからの他人との同居生活はどうなのだろうか。
祖母は、祖父を看取った後、70代半ばまで一人で暮らし、
その後、介護付きグループホームに入居した。
「ここに来てから『ガスの火をつけっぱなしにしたらどうしよう』と
心配しなくていいの。気が楽でいいわ」と笑っていた。
あっけらかんと目の前にある状況を受け入れる。
それが楽しい暮らしを手に入れるいちばんの秘訣なのかもしれない。
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