2013年2月15日金曜日

支援される人・されない人はどう違う?



1月29日、ジンバブエのテンダイ・ビティ財務相が「先週、公務員の給与を支払った時点で、 国庫金の残高は217ドルになった。政府の財政は現在、麻痺状態にある」と発表。すわ、ジンバブエ政府が破綻かと世界中で報じられ、大騒動になった。

しかし、その後のインタビューでビティは財政破綻を否定。翌日には3000万ドルの歳入があったと説明。伝えたかったのは「選挙と国民投票を実施する財源がないという点」であり、「例え話として、公務員への支払いを済ませたら217ドルしか残らなかったと語っただけ」だという。

独裁政権下で2億%以上のハイパーインフレ。さぞかし大変なんだろうと思う。でも、ここまで大変になってしまうと、かえって心配されなくなるのではないか。国庫残高217ドル発言のおかげで、かえって深刻さが伝わりづらくなったのではないかと、心配になる。

ライターになりたてだった90年代の終わり頃、
週刊SPA!ではよく、給料特集をやっていて、
ボーナスの時期になると、どこの企業が
去年より上がっただの下がっただのと、盛り上がっていた。
「30歳で1000万円もらえる業種・企業はどこだ?」
なんて特集もあった。
「一部上場なのに、30歳で1000万円超えないなんてショックー」
とかなんとか、そんなコメントがとれた時代だった。

その後、「年収500万円の平均ライフ」を経て、
年収300万円生活、年収200万円、年収100万円……と、
平均像の設定年収がガンガン下がっていくのを目の当たりにした。

いちばん切なかったのは年収200万円特集だった。
年収300万円ぐらいある人たちはなんだかんだいって
みんな楽しそうに暮らしていた。
これが年収200万円になると、さすがに厳しくなってくる。
取材中に「これからどうすればいいですかね」と逆に質問されて、
「うーん……」と一緒に考えこんでしまったこともあった。
ところが、年収100万円生活になると、再びパカーンと明るくなる。
生活ぶりはシャレにならないぐらい大変なケースが多かったし、
状況としてはかなり深刻なんだけれど、本人たちのノリは
どこまでも明るく、突き抜けている。

そういう人じゃなければ、取材なんて受けてくれないと
いうのもあったんだろうけど、それにしてもあっけらかんとしていた。
風俗嬢にいれあげて、一文無しになっちゃいましたエヘヘ、みたいな人とか、年収100万円しかないのにラッセンの絵を買っちゃうとか、
いろいろぶっ飛んでた。
ここまでくると、笑えてくる。ぜんぜん笑い事じゃないんだけど。

国庫残高217ドル発言は、危機を訴えるための例え話だったのかもしれない。でも、そのおかげで、「大変だよね……」と深刻になるラインを飛び越え、この笑っちゃう領域に入ってしまったような気がするのだ。
2億%以上のハイパーインフレの時点ですでに……だったのかもしれないけれど。

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